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小冊子のつくりかた
2002/08/27 作成
○原稿執筆にエディタを使おう。
パーソナル・コンピュータのユーザの中には、パーソナル・コンピュータを使って同人誌・ミニコミ誌・しおりといった、いわゆる「小冊子」を作ってみようと思った人は多いと思います。ですが、やってみると意外にうまくいかない。これにはいくつかの理由があります。
出版の世界では、本を作る場合に、
1)原稿を書く(執筆)。
2)版下を作る(組版)。
3)製版し、印刷する(印刷)。
4)本の形に綴じる(製本)。
という手続きを取ります。
ところが、ふつうの人がこうした小冊子類を作る場合、標準的な方法は、
1)ワープロで文章を書く(執筆・組版)。
2)印刷する(印刷)。
3)綴じる(製本)。
です。つまり、(1)の「執筆」と(2)の「組版」を一緒にやっちゃってるんですね。その結果、「ワープロで文章を書くのがめんどくさい」という問題が出てきます。まず、「ワープロソフトが重い」。つまりは動作がモタモタしていて文章を書くのが疲れる、という理由です。
ワードプロセッサで本を作ろうとした場合、「文章を書く」部分(執筆)と「文章をレイアウトする」部分(組版)を一つのソフトウェアで同時にやることになってしまうから、「執筆の段階では不必要な作業」までコンピュータが負担しなければならないので動作がもたつくんです。
「執筆と組版を同時に行なう」というのはコンピュータだけではなく、人間にもある種の負担を強いることになります。つまり、「執筆の段階で組版の作業のことまで考えてしまうため、作業が進まない」ということが起きるんです。
ですから、「執筆はエディタ/組版はワープロ」というふうに、ソフトを分けることをお薦めします。
○段組を活用しよう。
執筆は終わりました。で、組版です。ところが実際に版下を作ってみると、文章の量が増えるにしたがって、「間延びしているのに暑苦しい」レイアウトになってしまいます。なぜか。これは、本の仕上がりイメージに問題がある場合が多かったりします。
ワープロがない時代、ガリ版刷りの小冊子やコピーを利用して作る冊子なんかだと、本の仕上がりイメージというのは、
1)仕上りサイズB5/B4横置き/縦組/片面印刷/袋綴じ
2)仕上りサイズA5/A4横置き/縦組/片面印刷/袋綴じ
のどちらかでした。なにしろ「冊子を作る」という手間が大変だったので、文章の量も最初から少なく制限されていて、これで十分収まっていたんです。
それがワープロの普及にしたがって、文章の量が増えてきたために、
3)仕上りサイズA4/用紙A4縦置き/横組/片面印刷/平綴じ
4)仕上りサイズB5/B5縦置き/横組/片面印刷/平綴じ
といった形が増えてきました。ワープロ出力なので文字は小さくなりましたが、昔のプリンタは印刷精度が低かったので、現在よりも文字は大きく、線は太いものでした。そしてガリ版時代のわら半紙は上質紙になって透明度が高くなりました。だから裏映りしやすく、両面印刷は困難でした。
で、現在ではプリンタの精度が上がって小さな文字が打てるようになり、
5)仕上りサイズB5/B5縦置き/横組/両面印刷/平綴じ
6)仕上りサイズA5/A4横置き/横組または縦組/両面印刷/中綴じ
といった形式も見るようになってきました。
で、こうなってくるとですね、「紙の大きさに対して文字が極端に小さい」というのが問題になってくるんです。
そうなると、一行あたりの文字数が問題になってくるんですね。行頭から行末まで読んでいってまた行頭に戻ると、どこを読んでいたかわからなくなる。しかたがないから行と行の間を開ける。そうすると一ページにおさまる文字数が減るので、ページがかさんでしまって印刷・製版が大変になってお金がかかってしまう。しかたがないので余白を削ると、文字が大きく行間がスカスカで余白が少ない「間延びしているのに暑苦しい」レイアウトになってしまうんです。文字を大きくすればいいんですが、そうするとやっぱり情報密度が下がり、両面印刷ができなくなるからますます情報密度が下がる。
そんなわけで、問題はいかに一行あたりの文字数を減らすかにかかってくるわけで、必然的に「段組」というものが必要になってくるわけです。
従来多かったのは、
B4縦長ページ/縦組/段組なし
B4縦長ページ/横組/段組なし
A5縦長ページ/縦組/段組なし
でした。その後
A4縦長ページ/横組/段組なし
というのがよくありましたが、これはけっこう間延びしていてツラいものがありました。
で、
B4縦長ページ/横二段組
B4縦長ページ/縦二段組
というのが一時期主流だったのですが、コンピュータの普及とプリンタの高精度化で急速に用紙サイズがB系列→A系列と変化したために、
A4縦長ページ/横二段組・三段組
A4縦長ページ/縦三段組・四段組
といったスタイルが普及してきました。ただ、この場合、文字があまりきれいに出ない、という欠点があったりします。
○縮小印刷を使おう。
多くのワープロは、「A4またはB5の用紙に、横書きの、それほど大量でない文章を書き、片面印刷し、せいぜい十部程度の文書を作成する」ことを前提に作られています。
で、こういう場合は、文字は小さくなくていいんです。もともとの情報量が少ないから、紙の量を節約する必要はありません。そんなわけで、「大きな文字がきれいに出る」ことを考えてフォントも設計されているので、活字と同じくらいのサイズの小さな文字は、きれいに出ないことが多いんです。
印刷用の文字は、文字の大きさ(号数とか級数とかポイント数とかいいます)が小さいものが多いのですが、ワープロ用、あるいはコンピュータ用の文字は、大きいものが多い。だから、小さい字がきれいに出ないんです。プリンタの性能はどんどん上がっているので印刷自体はきれいなんですが、コンピュータが持っている文字の精度が高くない。これはいわゆるアウトラインフォントでも同じです。大きな文字も小さな文字もおなじ精度で生成しているので、小さな文字を出力するとあらが目立ってしまう。
そんなわけで、コンピュータを使った小冊子を作る場合、版下をA4で出力して、B5に縮小コピーをして印刷する、というのが一つのスタイルになっていました。で、この「A4で出力して見開きのコピー原稿を作り、B5でコピーする」というのは、学生なんかにはわりと知られた方法でした。理由は以下の通り。
1)普通、プリンタ用紙として使われているのはA4です。そんなわけで、ほとんどの場合、原稿はA4になります。
2)お店でコピーさせてもらう場合、コピー料金というのは、B5・A4・B4・A3のいずれでもだいたい同じです。ですから、原稿を二枚並べてコピーすると、コピー代が半分になります。
3)事務用のコピー機用にA3の用紙トレイや紙を用意しているところはあんまりなくて、だいたいB5とA4が標準、大きなところではB4が置いてある、という感じです。A4二枚分のサイズはA3になり、等倍にコピーするのが難しい、という事情があります。そんなわけで、87パーセント縮小してA3→B4とすると、たいていのところ(文房具屋さん、コンビニエンス・ストア、学校など)でコピーができるので、扱いが楽になります。
で、仕上りサイズB5/B4横置き/縦組/片面印刷/袋綴じで製本するわけです。
なお、(3)の段階で71パーセント縮小してA3→A4として、家庭用のコピー機でA4の等倍コピーをして「印刷」するという手もあります。これだと仕上りサイズA5/A4横置き/縦組/片面印刷/袋綴じとなって、ちょっとコンパクトな感じになります。
ただ、普通のステープラーで二十枚を超える上質紙(PPC用紙)を綴じるのは困難です(これ以上だと、二穴パンチで穴をあけて、バインダーで綴じて配布する形になります)。ですから、紙の枚数十五枚からせいぜい二十五枚程度だと助かります。そうなるとページ数もせいぜい二十四ページ(両面印刷で四十八ページ)になってしまって、あんまりうれしくありません。
そんなわけで、文章の量が多い場合は、二穴パンチで穴を開けて二穴のバインダーに入れて配布する、という形になってしまいます。合理的ですが、あんまり「本」っぽくないのが泣きどころです。「本」の形にこだわるなら、まず大型のステープラーを買いましょう。
なお、この縮小の作業をコンピュータの中でやってしまう方法があります。つまり、組版は大きな紙でやっておいて、出力のときに縮小印刷をかける。たとえばB4の紙でレイアウトしておいてA4で印刷すると、82%縮小になります。たかだか二割未満の縮小率ですが、それでも文字は格段にきれいになります。
○印刷にはレーザープリンタがいちばん。
小冊子を作る場合、「印刷の手間をいかに減らすか」はかなり切実な問題です。
なにしろ、小冊子の場合、「部数が中途半端に多い」んです。数十部から最大で数百部程度でしょうか。そうすると、専門の印刷屋さんに頼むと効率が悪い。
印刷屋さんでインクを使って刷る場合、まず印刷用の版下を作って、それを使って数百枚程度試し刷りをしてから印刷をします。だから、千部未満の部数では、とても高くついてしまうんです。そんなわけで、自分で刷らなきゃなんない。
で、どうやったら安く刷れるかといえば、プリンタ(できればレーザープリンタ)で出力するか、家庭用のコピー機でコピーするかのどっちかということになります。両面印刷可能/B4出力可能のレーザープリンタとかあればいいんですけどね、これははっきり言って高いです。買うならせいぜい両面印刷可能/A4出力可能のレーザープリンタでしょう。
○自分で作れば費用は五分の一。
で、こうした工夫の結果、どれだけ安くなるか、です。
普通に段組をしないで作ったワープロ原稿。これが仮に80ページになったとします。で、これを百部刷るとする。そうすると、いくらになるか。
この厚さだと、ステープル(ホチキス)で留めるのが難しくなってきます。そんなわけで専門の業者に頼むことになります。で、百部というと印刷屋に出すのはちょっと無理があります。すでに述べた通り、千部以上刷らないと、印刷というのは安くなりませんから。
そんなわけで専門のオンデマンド出版の業者に頼むとすると、コピー代金が1ページあたり十五円、製本代が一冊三百円とかになって、一冊千五百円とかになってしまいます。つまりは全部で十二万円です。
で、これを二段組にすると、ページ数は約四割にまで減らせます。そうすると、80ページのものが三十二ページになります。この厚さなら、強力なステープラーだったら無理なく綴じることができます。
これをB5中綴じにすることを考えてみましょう。紙の枚数は八枚です。手順は以下の通り。
1)あらかじめ、A4でプリントアウトした原稿をページレイアウトに従って二枚づつ張り合わせて、コピー原稿を作っておく。(組版)
2)A3からB4へ、両面縮小コピーをする。(印刷)
3)真ん中で綴じて、縁を断裁する。(製本)
両面コピー八枚で一部できるわけだから、コピー代が一枚二十円でも一部百六十円でできます。
なお、B4両面印刷ができるレーザープリンタがあれば、原価は一枚五円くらいになります。そうすると一部四十円。
中綴じは、縦横どっちでも閉じられるステープラーというを使います。十五枚から二十枚くらいまでしか綴じられないのが千円未満、三十五枚くらいまで綴じられるのが四千円くらい。八枚だったらいちばん安いやつでいけます。
で、通称「ギロチン」という断裁機で三方を切って、できあがり。
そんなわけで、製本代うんぬんを加え、必要な道具類の減価償却分を勘案しても、おおむね一部三百円程度に抑えることができます。
以上、小冊子づくりのノウハウでした。まる。
(Maria)